「アディショナルタイムとは?意味・延長戦との違い・名場面を徹底解説!」

①「+5分の奇跡。」──サッカーの“最後の数分”が生むドラマとは?
試合終了間際、スコアボードに突如表示される「+5分」「+7分」の文字。
それは、勝者と敗者を一変させる“もうひとつの戦場”の始まりを意味します。
サッカーにおいてアディショナルタイム(追加時間)は、時計の針が90分を過ぎた後も、ドラマを生む特別な時間。ここで決まったゴールがタイトルを決め、涙を誘い、歴史を変えてきました。
本記事では、アディショナルタイムのルールや目的、延長戦との違い、そして数々の“奇跡”が生まれた名場面を深掘り。サッカー観戦がもっと熱くなる、最後の数分に宿る“魔法”に迫ります。
💡アディショナルタイムも含まれるサッカー競技規則第7条「試合時間」の解説記事はこちら↓

②アディショナルタイムとは?【定義と目的】
アディショナルタイム(英:Additional Time)とは、サッカーの前半・後半それぞれの終了時に主審の判断で追加される時間のことです。試合中に発生した中断時間(負傷、選手交代、VARチェック、遅延行為など)を補う目的で設けられています。
かつては「ロスタイム(lost time)」と呼ばれることが一般的でしたが、現在は国際的に“アディショナルタイム”が正式用語とされています。
⏱なぜ追加されるのか?目的は「公平性の確保」
サッカーは時計を止めずに進行するスポーツです。そのため、プレーが止まっている時間も含めて90分が経過してしまいます。
しかし、それでは試合の“実質的なプレー時間”に大きな差が生じてしまうことも。
この不公平を防ぐために、主審が裁量で「適正な追加時間」を設けるのがアディショナルタイムです。
💡用語としての補足:ロスタイムとの違い
「ロスタイム」という言葉も依然として日本国内では広く使われていますが、これは以前の呼び方であり、現在は“アディショナルタイム”が正式名称です(FIFA/IFABの公式文書も“Additional Time”で統一)。
③延長戦との違いとは?よくある誤解を解消
🆚 アディショナルタイムと延長戦はまったくの別物
サッカー観戦初心者によくある疑問のひとつが、「アディショナルタイムと延長戦って何が違うの?」というものです。名前こそ似ていますが、この2つは適用される状況も、ルールもまったく異なるものです。
項目 | アディショナルタイム | 延長戦 |
---|---|---|
適用される場面 | 前半・後半の終了時(基本90分制の試合) | トーナメントなどで同点時に試合続行 |
時間 | 主審が決定(例:+3分など) | 15分ハーフ×2=合計30分 |
目的 | 試合中の中断時間の補填 | 勝敗を決めるための追加プレー |
試合の性質 | 通常の90分に含まれる | 90分終了後の延長プレー |
表示されるタイミング | 45分・90分直前に「+◯分」と表示される | 90分終了後にアナウンスされて延長開始 |
🤔よくある勘違い
- 「延長戦は毎試合ある」→❌通常のリーグ戦では延長戦は行われません。
- 「アディショナルタイムで得点すると延長に突入する」→❌トーナメントで同点の場合のみ延長戦に入ります。
✅ポイントまとめ
アディショナルタイムは“時間調整”、延長戦は“勝敗決着”のための時間。
この2つをしっかり区別することで、サッカー観戦がもっと楽しく、深く理解できるようになります!
💡延長戦やPK戦が関連するサッカー競技規則第10条「試合結果の決定」を解説した記事はこちら↓

④アディショナルタイムは誰が決めている?基準は?
🎯決めるのは主審。表示は第4の審判が担当
アディショナルタイムの決定は、試合をコントロールする主審の裁量によって行われます。
その時間を選手・観客・視聴者に伝えるために、第4の審判員が「+◯分」と表示されたボードを掲げるのが通例です。
💡主審以外のその他の審判員に関わる詳細記事はこちら↓

📏アディショナルタイムの主な加算要素と目安
主審は、以下のようなプレーが中断された時間をもとにアディショナルタイムを算出します。
加算理由 | 目安時間 |
---|---|
選手交代 | 1回につき約30秒 |
負傷によるプレー中断 | 実際の中断時間分 |
ゴール後のセレブレーション | 約30秒〜1分 |
VARチェック | 判定にかかった時間 |
遅延行為(時間稼ぎ) | 状況に応じて加算 |
飲水タイムなど | 実施された時間分 |
例:後半で選手交代が3回あり、VARが1分、負傷中断が2分あった場合 → +5分程度が目安になります。
🕒「表示された時間」=“最低”保証時間
ボードに表示された「+5分」はあくまで最低限プレーが続く保証時間です。
その後もゴールやケガで時間がロスすれば、+6分や+7分まで延びることもあり得ます。
🗨豆知識:「なぜこんなに長いの?」と感じたら
近年の国際大会(特に2022年カタールW杯)では、実プレー時間の確保を重視する傾向が強まり、10分以上のアディショナルタイムが表示されることも増えています。
これはFIFAが「正確なプレー時間」を意識した運営方針を取っていることによるもので、今後も増加傾向にあると見られます。
⑤奇跡が起きる時間…!アディショナルタイムの名場面3選
アディショナルタイム──それは、勝敗が決まりかけた試合に“運命のどんでん返し”をもたらす、魔法のような時間帯。
ここでは、サッカーファンの記憶に刻まれた歴史的な「ATドラマ」を5つ厳選して紹介します。
⚽① マンチェスター・ユナイテッドの奇跡(1999年 CL決勝)
試合:マンチェスター・ユナイテッド vs バイエルン・ミュンヘン
状況:後半アディショナルタイム(90+1分・90+3分)
90分まで0-1でリードを許していたユナイテッドが、ATに2ゴールを連続奪取して大逆転優勝。
サッカー史上屈指の「劇的フィナーレ」として語り継がれています。
この年、マンチェスターユナイテッドはCL、リーグ戦、FAカップ制覇のThe Treble(三冠)を達成。
マンチェスターユナイテッドの劇的なアディショナルタイム2発はこちら
⚽② 日本代表の悪夢と成長(2018年 W杯 vs ベルギー)
試合:日本 vs ベルギー(ロストフの死闘)
状況:後半アディショナルタイム(90+4分)
2-2の同点で迎えた後半AT、コーナーキックからカウンターを受けてラストプレーで決勝点を許す。
歴史的な敗戦ながら、「勝ちに行った姿勢」は世界中から称賛されました。
⚽③ドーハの悲劇(1993年 W杯アジア最終予選)
試合:日本 vs イラク
状況:後半アディショナルタイム(90+1分)
日本がW杯初出場に“あと一歩”と迫っていた1993年10月28日、カタール・ドーハで行われた運命の一戦。
2-1で迎えた後半アディショナルタイム、コーナーキックからまさかの同点弾を許し、試合は2-2で終了。日本は予選突破を逃し、“ドーハの悲劇”として永遠に記憶される試合となりました。
💬まとめ:アディショナルタイムは、記憶に残る物語の舞台
ラスト1プレーで涙が流れ、歓喜が爆発し、歴史が動く──
それがアディショナルタイムの魅力です。
次にあなたが観戦する試合でも、きっと“+◯分の奇跡”が待っているかもしれません。
⑥アディショナルタイムは、試合の縮図だ。
アディショナルタイム──それは、単なる“おまけの数分間”ではありません。
むしろ、90分間のすべてが凝縮される“試合の縮図”とも言える時間帯です。
この短い時間に、選手のメンタル、監督の戦略、観客の祈り、すべてが交錯し、歴史を動かすゴールや涙の瞬間が生まれます。
✅この記事でわかったこと
- アディショナルタイムとは何か? → 試合の中断を補う「主審の裁量による追加時間」
- 延長戦との違いは? → 目的も時間もまったく異なる別ルール
- 名場面が生まれやすい理由 → 集中力・精神力・ベンチワークの差が出る時間帯
- 実際に起きた“奇跡のゴール” → 世界も日本も、ATで歴史が変わった
今後サッカーを観戦する際は、「+◯分」の表示が出た瞬間から、物語のクライマックスが始まると思って観てみてください。
きっと、これまでと違った目線でサッカーの魅力を感じられるはずです。
💡初心者も経験者もこれ一択!サッカー用語をまとめた辞典機能のある解説記事はこちら↓(この記事で出てきた用語もあります)


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